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第46巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第31回画像診断セミナー ─

末梢性肺野病変に対する呼吸器細胞診の意義

中山 富雄1, 鈴木 隆一郎1, 竹中 明美1, 南雲 サチ子1, 内田 純二1, 今村 文生1
1大阪府立成人病センター

目的.末梢性肺野病変に対する呼吸器細胞診の意義を明らかにする.方法.医療判断学の立場から,末梢性肺野病変の治療方針決定の流れの中での,画像診断と,術前病理細胞診断の意義を検討した.結果.高分解能CTで,スリガラス状陰影を呈する場合,がんである事前確率は高いため,術前病理細胞診断が陽性に出ても,事後確率はあまり上昇しない.また病巣への命中の確認が非客観的であるため陰性という結果も信頼性が乏しく,臨床医は術前細胞組織診断の正否に関わらず,患者への切除を勧めている.一方高分解能CTで充実性病変を呈する場合は,がんである事前確率が低いため,術前診断での陽性結果は,事後確率を大幅に向上させる.結論.スリガラス状陰影を呈する病変への,術前細胞組織診断の意義は乏しい.臨床医は画像診断や臨床情報を適切に判断しながら診断のステップを選択すべきであり,また内視鏡医は少なくとも細胞診や組織診の適切な標本作製の手技を理解する必要がある.
索引用語:細胞診断, 呼吸器, 医療判断学

肺癌 46 (1):75─78,2006

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