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第52巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 第37回画像診断セミナー ─
肺癌の病理―特に肺腺癌の分類の現状について―
野口 雅之11筑波大学医学医療系診断病理学
WHO第3版における肺腺癌の分類には大きな問題点が2つ存在する.その1つは細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma,BAC)は予後100%の腫瘍であるにも関わらず進行腺癌の分類の1つにあげられていることで,2つ目は進行腺癌の亜型分類に「混合型」が存在することによって進行腺癌の亜分類の90%が混合型に分類されてしまう点である.IASLC病理委員会ではWHO第4版に向けて新しい腺癌分類を提唱した.これによれば肺腺癌の前浸潤性病変に,以前より分類されていた異型腺腫様過形成(atypical adenomatous hyperplasia)の他に上皮内腺癌(adenocarcinoma in situ)を加えた.さらに進行腺癌の分類を,a)置換性増殖優位型,b)腺房性増殖優位型,c)乳頭状増殖優位型,d)微少乳頭状増殖優位型,e)(粘液産生)充実性増殖優位型の5亜型に分類し,最も優位な組織亜型で分類した.一方,上皮内腺癌と進行腺癌の間に微少浸潤性腺癌の項目も設けた.
索引用語:上皮内腺癌, 微少浸潤癌, 細気管支肺胞上皮癌, 置換性増殖, 微小乳頭状増殖
肺癌 52 (3):339─345,2012