第54巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
出血性胃十二指腸潰瘍の形態で再発を来し,化学療法が奏効した肺腺癌の1例
野島 雄史1, 清水 克彦1, 湯川 拓郎1, 前田 愛1, 最相 晋輔1, 中田 昌男11川崎医科大学呼吸器外科
背景.肺癌の胃十二指腸転移は頻度が低く,なかでも出血性潰瘍の形態にて発症した報告は稀である.症例.69歳男性.肺腺癌にて根治手術を施行し,2年9カ月後に出血性潰瘍にて発症し,胃および小腸の多発転移と診断された.全身化学療法(カルボプラチンとペメトレキセド併用療法)を4コース施行したところ,胃と十二指腸の潰瘍性病変はすべて瘢痕化し,小腸病変も消失した.結論.出血性潰瘍の形態にて発症した肺癌の胃小腸転移の症例を経験した.本症例は化学療法が著効した稀な症例であり,文献的考察を加えて報告する.
索引用語:肺腺癌, 再発, 胃小腸転移, 出血性潰瘍, 化学療法
受付日:2014年7月17日
受理日:2014年10月30日
肺癌 54 (7):974─977,2014