タイトル
第63巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

再発縦隔リンパ節切除で免疫チェックポイント阻害薬治療継続可能であった非小細胞肺癌の1例

橋本 鉄平1, 井上 政昭1, 名部 裕介1, 吉田 順一1
1下関市立市民病院呼吸器外科

背景.免疫チェックポイント阻害薬は非小細胞肺癌において病変ごとに異なる治療効果を示すことが知られている.症例.66歳,男性,両側上葉肺扁平上皮癌(同時性多発肺癌).心呼吸機能低下のため両腫瘍に対する根治手術は困難であり,免疫複合療法(CBDCA+nab-PTX+pembrolizumab)を選択.4コース投与後に両側腫瘍は縮小.Pembrolizumab単剤による維持療法23コース後のCTで左上葉肺癌は消失,肺門リンパ節と一塊となった右上葉肺癌原発巣は縮小を維持していたが,#4Rリンパ節のみが腫大.PET-CTでは同リンパ節と右肺門部病巣にFDG集積を認めた.経過から縦隔リンパ節転移と判断した.右肺門部に腫瘍の残存はあるが,縮小維持されていたため,病勢コントロール目的と遺伝子検査目的に縦隔リンパ節切除術を施行した.術後は維持療法を継続し初回治療から1年11ヶ月(術後4ヶ月)経過した現在無増悪生存中.結論.非小細胞肺癌に対するPD-1阻害薬治療において,個々の病変ごとに不均一な増悪パターンを示す場合は,増悪病変を外科的切除することで病勢をコントロールできる可能性がある.
索引用語:非小細胞肺癌, PD-1, 免疫チェックポイント阻害薬, Pembrolizumab, 肺癌

受付日:2022年5月11日
受理日:2022年10月11日

肺癌 63 (2):95─100,2023

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