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第64巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

肺がん免疫療法の今後の方向性

吉田 達哉1,2
国立がん研究センター中央病院 1呼吸器内科, 2先端医療科

抗PD-1/L1(Programmed death receptor-1/Programmed death ligand 1)抗体などの免疫チェックポイント阻害薬単剤療法および化学療法との併用療法は,進行期非小細胞肺癌患者を対象とした複数の第3相試験によって,標準的な化学療法と比較して,良好な治療成績を示し,進行期非小細胞肺癌患者の初回治療の標準治療となっている.さらに最近では,免疫チェックポイント阻害薬の適応は,早期肺癌における周術期治療および小細胞肺癌患者に対する初回治療にも拡大している.一方で,既存の免疫チェックポイント阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬を含めた複合免疫療法では,治療効果が不十分な症例や一旦奏効はしたが耐性をきたす症例が数多く存在する.また治療効果予測因子である腫瘍細胞上のPD-L1発現は,免疫療法の治療効果を確実に予測できるバイオマーカーではないことも問題点となっており,さらなるバイオマーカーの同定が重要となっている.本稿では,肺がんにおけるがん免疫療法の現状と問題点とともに,新規の免疫チェックポイント阻害薬や二重特異性T細胞誘導抗体などの新規免疫療法の可能性および免疫療法のバイオマーカー開発の方向性について概説する.
索引用語:肺癌, 免疫チェックポイント阻害薬, 抗PD-1/L1抗体, 抗CTLA-4抗体, 二重特異性T細胞誘導抗体

肺癌 64 (1):2─10,2024

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