タイトル
第64巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ペムブロリズマブを開始後,急激な進行で死亡したPD-L1高発現のSMARCA4欠損大細胞肺癌の1剖検例

今尾 舞1, 田中 悠也1, 池内 美貴1, 山本 浩生1, 久米 佐知枝1, 稲尾 崇1, 門田 和也1, 大塚 浩二郎1, 大林 千穂2, 鈴木 雄二郎1
神鋼記念病院 1呼吸器センター, 2病理診断科

背景.近年,胸部SMARCA4欠損の未分化腫瘍がWHO分類第5版で新たに分類され注目されている.一方で非小細胞肺癌の10%にSMARCA4欠損がみられると報告されているが,その臨床的意義などは明らかにされていない.症例.87歳,男性.胸部CTで右下葉肺癌を疑われ,当院に紹介された.精査にてSMARCA4欠損非小細胞肺癌(cT2aN3M1c,stage IVB)と診断した.PD-L1高発現でありペムブロリズマブを開始したが,呼吸状態の悪化を認め治療開始15日目に永眠された.治療開始13日目の胸腹部CTでは原発巣の増大に加え両側胸水の増加およびリンパ管症を疑う広義間質の肥厚を認めていた.剖検ではSMARCA4欠損の大細胞肺癌(yaT4N3M1c,stage IVB)と最終診断した.リンパ節転移が高度であり,顕微鏡的に両側副腎,甲状腺および肺のリンパ管内に転移を認めた.結論.ペムブロリズマブ投与後に急激な経過で死亡したSMARCA4欠損大細胞肺癌の症例において剖検を施行したため,文献的考察を加えて報告する.
索引用語:SMARCA4欠損非小細胞肺癌, 大細胞癌, 剖検, 免疫チェックポイント阻害薬, Hyperprogressive disease

受付日:2023年6月5日
受理日:2023年9月28日

肺癌 64 (1):22─27,2024

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