タイトル
第64巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

傍胸骨リンパ節転移を契機に診断した卵管癌の1例

高田 潤一1, 井上 雄太1
1茅ヶ崎市立病院呼吸器外科

背景.卵管癌・卵巣癌・腹膜癌の胸腔内転移で最も多いのは胸膜播種による胸水貯留で,リンパ節転移は傍胸骨や横隔膜上などへの転移報告が散見されるのみである.肺・胸膜病変を伴わない傍胸骨結節に胸腔鏡下生検を行い,卵管癌リンパ節転移と診断した稀な1例を報告する.症例.70歳女性.CT検査で偶発的に,多発腹膜結節および15 mm大の傍胸骨結節を認めた.腫瘍マーカーは,sIL-2レセプター1790/µl,CA125 346 U/mlと上昇していた.PET-CTでは腹膜結節と傍胸骨結節にSUV max 8.2,6.0の集積を認めた.肺・胸膜に病変はなかった.悪性リンパ腫などを疑い胸腔鏡下生検を行った.結節内に異型上皮が乳頭状に増殖し,免疫染色でのER・PAX8陽性所見から,高異型度漿液性腺癌のリンパ節転移と診断した.組織型から女性器原発を疑い両側付属器・大網・腹膜結節切除術を実施した.原発巣は左卵管采と判明し,腹膜播種から横隔膜前方経路でリンパ行性に傍胸骨転移を来したと考えた.術後10ヶ月時点で外来化学療法を継続中である.結論.傍胸骨腫瘍性病変の鑑別に,稀ながら卵管癌リンパ節転移も挙げられる.
索引用語:傍胸骨リンパ節転移, 卵管癌

受付日:2023年12月28日
受理日:2024年2月22日

肺癌 64 (3):174─178,2024

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