タイトル
第64巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

オシメルチニブ肺障害後にエルロチニブ+ラムシルマブで治療を行ったEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の2例

遠藤 優輝1, 井上 考司2, 勝田 知也2, 橘 さやか2, 近藤 晴香2, 中村 純也2, 能津 昌平2, 相原 健人2, 中西 徳彦2, 森高 智典2
愛媛県立中央病院 1臨床研修センター, 2呼吸器内科

背景.オシメルチニブ肺障害後のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬再投与に関して一定の見解はない.症例1.63歳男性.多発脳転移を含む非小細胞肺癌stage IVB(EGFR del19変異陽性)と診断後にオシメルチニブによる治療を開始し部分奏効を得たが,11週後にgrade 3の肺障害のため投与中止とした.以後は殺細胞性抗癌剤による2~3次治療を行ったが,多発脳転移は増大を認め,エルロチニブ+ラムシルマブによる治療を選択した.体幹病変,脳病変はともに部分奏効を得て肺障害の再燃なく最終的に脳転移増悪まで7カ月継続可能であった.症例2.77歳女性.非小細胞肺癌 stage IVA(EGFR/L858R変異陽性)と診断後に開始したオシメルチニブは4週でgrade 2の肺障害のため中止し,次治療検討中に多発脳転移の新出を確認した.γナイフ治療に続いてエルロチニブ+ラムシルマブによる治療を行ったが5カ月現在で肺障害の再燃なく継続中である.結論.オシメルチニブによる肺障害を来したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対して,脳転移制御のためにエルロチニブ+ラムシルマブを投与した2症例の経過を報告した.
索引用語:オシメルチニブによる肺障害, 脳転移, エルロチニブ+ラムシルマブ, 抗VEGF抗体

受付日:2024年1月28日
受理日:2024年3月6日

肺癌 64 (3):186─192,2024

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