タイトル
第37巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

原発性肺非小細胞癌におけるp53遺伝子突然変異の検討

柿澤 公孝, 山口 豊, 柴 光年, 白澤 浩, 清水 文七
千葉大学医学部肺癌研究施設外科, 同 微生物学第1

原発性肺非小細胞癌47例につきPCR-SSCP分析をもちいp53遺伝子突然変異の検出を試みた.12例(25.5%)に遺伝子変異を認め,うち3例は喫煙との関係が示唆されているG-T Transversionであった. p53遺伝子の変異の有無とT,N,M各因子とのあいだに有意な相関は認められず,p53遺伝子変異群に有意に扁平上皮癌が多く認められた.また47症例中,正常組織,原発巣,転移リンパ節組織がともに得られた8例に対しそれぞれ変異の検出を行った.2例において原発巣および転移リンパ節に変異が検出されたが,正常クローンと変異クローンの比率を比較するために原発巣,転移巣それぞれにつきp53の正常バンドと変異バンドのシグナルの比率を測定した.結果は2例ともに原発巣,転移巣のあいだに差を認めなかった.p53の変異の有無は進行度,転移と明確な関係はないものと思われた.
索引用語:p53, PCR, SSCP, Mutation, Lymph node metastasis

受付日:1996年7月31日
受理日:1996年10月15日

肺癌 37 (1):5─11,1997

ページの先頭へ