タイトル
第37巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

細胞診陰性胸水を有した原発性肺癌に対する胸腔鏡検査―気管支内視鏡を用いて―

瀬戸 貴司, 千葉 博, 深井 祐治, 稲吉 厚, 蔵野 良一**
熊本地域医療センター呼吸器科, 同 外科, **同 病理

〔目的〕原発性肺癌の胸水症例で,胸腔穿刺胸水検査にて細胞診陰性であった症例を局所麻酔下に気管支内視鏡を用いた胸腔鏡検査を行い検討した.〔対象〕原発性肺癌の診断が確定した症例で,画像診断上,腫瘍の胸壁浸潤が認められず,胸水が滲出性で,ADAが低値(40 IU/以下),リンパ球が優位,細胞診が陰性であった19例(17例が肺癌の担癌症例で2例が肺癌切除術後症例)を対象とした.〔結果〕担癌例の11例,術後例の1例に病理組織学的に肺癌浸潤の診断が得られた.非特異的炎症が6例に認められ,ドレナージ以外の特別な治療なしに胸水の再貯留は認められなかった.〔考察〕胸水中に悪性細胞が陰性であった症例には,高率に非悪性胸水症例が含まれていた.気管支内視鏡を用いた胸腔鏡検査は極めて簡単な操作で,主たる合併症なしに施行することが可能で,臨床病期診断,治療方針決定に重要な情報を得ることが可能になると考えられた.
索引用語:Thoracoscopy, Flexible bronchoscope, Lung cancer Malignant pleural effusion

受付日:1996年9月2日
受理日:1996年11月20日

肺癌 37 (1):41─45,1997

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