タイトル
第37巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

非癌性病変(20 mm以下の)のthin-section CT画像を用いた解析―肺癌との鑑別を中心に―

塩谷 清司1,5, 山田 耕三1, 尾下 文浩1, 野村 郁男1, 野田 和正1, 田尻 道彦2, 石橋 信2, 亀田 陽一3, 金子 昌弘4, 杉村 和朗5
1神奈川県立がんセンター内科第3科, 2同 外科第1科, 3同 検査第1科, 4国立がんセンター中央病院内視鏡部, 5島根医科大学放射線科

肺野小型病変の質的診断基準を確立する目的で,最近約3年間に切除され病理学的に非癌性病変の確定診断が得られた20 mm以下の肺野小型病変23例について,術前のthin-section CT画像とその病理所見を対比検討した.CT画像は,術前2週間以内に通常の造影CT画像を撮影した後に,helical scan CTで深吸気保持下に病変部を中心に撮影し,2 mm幅,2 mm間隔のthin-section CT画像を再構成した.描出条件は統一し,画像所見と病理所見を対比するために切除肺はCT方向に割を入れた.画像的には充実型と含気型に大別可能であり,前者は良性腫瘍,肉芽腫,一部のfocal fibrosisであり,後者は全てfocal fibrosisであった.充実型病変,含気型病変共に辺縁所見のみでは肺癌との鑑別がつきにくいものも,肺血管の関与の仕方を解析することにより,ある程度肺癌との鑑別が可能であると考えられた.
索引用語:Thin-section CT, CT diagnosis, Benign pulmonary lesion

受付日:1996年4月24日
受理日:1996年12月3日

肺癌 37 (1):47─54,1997

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