タイトル
第37巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺腫瘍を合併した縦隔腫瘍症例の検討

庄村 遊, 島本 亮, 日置 巌雄, 安達 勝利, 徳井 俊也, 高尾 仁二, 谷 一浩, 並河 尚二, 矢田 公
三重大学胸部外科

教室では過去17年間に縦隔腫瘍症例を153例経験しており,うち肺腫瘍との合併症例は5例で,これらについて検討を加えた. 男性2例,女性3例,年齢は35歳から76歳で,診断は胸腺腫と肺癌症例2例,縦隔嚢胞性腫瘍と肺癌症例2例,胸腺腫と肺過誤腫症例1例であった.全例手術症例で,うち合併切除は3例であり,70歳以上の高齢者2例は手術侵襲を少なくする目的で縦隔腫瘍は良性と判断し切除せず肺腫瘍のみ切除し,術後,縦隔腫瘍に変化はみられなかった.開胸方法は縦隔腫瘍と肺腫瘍のどちらかの切除を重視するかで違いがあり,胸骨正中切開法,前側方切開第4肋間開胸法,後側方切開第5肋骨床開胸法を施行した. この5例の検討により,縦隔腫瘍に肺腫瘍を合併した症例では症例の背景因子,術前診断,腫瘍部位を考慮して手術術式を決定すべきであると考えられた.
索引用語:Mediastinal tumor, Lung tumor, Surgical method

受付日:1996年8月29日
受理日:1996年12月10日

肺癌 37 (1):55─59,1997

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