タイトル
第37巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

白血球増多を伴った肺癌症例における血清顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)およびG-CSF産生に関する検討

春日 郁馬, 市瀬 裕一, 米丸 亮, 加藤 治文, 外山 圭助
東京医科大学内科第1講座, 同 外科第1講座

原因不明の白血球増多を伴った肺癌症例を調査し,それらの患者の血清G-CSF値を測定し,併せて腫瘍細胞からのG-CSF産生の有無について検討を行った.5年間に入院した肺癌症例147例のうち,白血球増多をきたした症例が77例存在し,そのうち33例は明らかな感染症や骨髄転移のないものであった.また147例中11例(7.5%)は白血球数が20,000/mm3以上の高値で,そのうちの6例(4.1%)は30,000/mm3以上の値を呈した.白血球増多33例の血清G-CSF値を測定したところ6例が高値を示した.組織型別には大細胞癌2例,腺癌2例,扁平上皮癌2例で,このうち腺癌と扁平上皮癌の症例はいずれも低分化型であった.なお小細胞癌で高値を示したものはなかった.また33例の腫瘍組織を抗G-CSF抗体で染色したところ,血清G-CSF値が高値であった大細胞癌,低分化扁平上皮癌,低分化腺癌の3例で腫瘍細胞が陽性反応を示し,G-CSF産生肺癌と診断した.
索引用語:Lung cancer, Non-small cell lung cancer, Large cell cancer, Leukocytosis, Granulocyte-colony stimulating factor (G-CSF)

受付日:1996年6月28日
受理日:1997年1月17日

肺癌 37 (1):61─66,1997

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