タイトル
第37巻第1号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

胸郭内原発悪性線維性組織球腫の4例

草島 義徳1, 瀬川 正孝1, 中村 裕行2, 杉原 政美3, 斉藤 勝彦4, 島崎 栄一4
1富山市民病院呼吸器外科, 2同 呼吸器内科, 3同 放射線科, 4同 病理

胸郭内原発(肺1例,縦隔2例,胸壁1例のMalignant fibrous histiocytoma(MFH)の4例を報告した.男性3例,女性1例,平均年齢65歳で全例に炎症所見を認めた.腫瘍マーカーとして血清フェリチン値を測定した2例では,腫瘍の増大とともに血清フェリチン値の上昇が観察された.4例の腫瘍組織内フェリチン分布を免疫組織化学的に検討した結果,腫瘍細胞の胞体および腫瘍内外に浸潤する組織球に陽性に染色された.フェリチンは腫瘍細胞から,あるいは随伴する炎症反応により産生されると考えられ,MFHの腫瘍マーカーとなり得る可能性が示唆された.4例とも増殖速度が極めて速く,術前診断が困難であった.2例に切除術を施行したが,全例の最長生存期間は7ヵ月で極めて予後不良であった.より早期の,開胸生検による確実な組織診断と手術,放射線,化学療法を組み合わせた積極的な集学的治療が必要である.
索引用語:Malignant fibrous histiocytoma, Thoracic cage

受付日:1996年8月5日
受理日:1996年10月28日

肺癌 37 (1):75─82,1997

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