第37巻第1号目次 | Japanese/English |
─ 症例 ─
肺のbenign clear cell tumorの1例
吉田 成利, 木村 秀樹*, 岩井 直路*, 鈴木 実, 山口 豊, 松嵜 理**千葉大学医学部肺癌研究施設外科, *千葉県がんセンター呼吸器科, **千葉県がんセンター臨床病理部
極めて稀な肺良性腫瘍である肺のbenign clear cell tumorの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.本腫瘍はLiebowらが1963年に初めて報告した腫瘍で本邦ではこれまでに20例が報告されているにすぎない.患者は63歳,女性.腫瘍は右S9bに存在し,確定診断が得られず胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.組織学的に胞体内にグリコーゲンを含む淡明な細胞が充実性に存在していた.免疫組織学的にはHMB-45が陽性で,S-100蛋白,EMA,factor-VIII,サイトケラチン,クロモグラニン,アクチン,NSE,ビメンチンなどは陰性であった.本腫瘍の発生起源は不明で,本症例についても起源の推察はできないが,免疫組織化学的検討が進めば可能になると考える.
索引用語:Benign clear cell tumor, Sugar tumor, VATS
受付日:1996年3月26日
受理日:1996年12月26日
肺癌 37 (1):99─103,1997