タイトル
第37巻第1号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

消化管に広汎に多発性転移を認めた肺腺癌の2例

小橋 吉博, 河端 聡, 宮下 修行, 中島 正光, 二木 芳人, 松島 敏春
川崎医科大学呼吸器内科

肺癌が消化管に広汎に転移をきたすことはまれである.私たちは消化管に多発性に転移をきたした肺腺癌2例を経験したので報告する.第1例目は半年前に縦隔リンパ節転移を伴う肺癌の切除歴のある59歳の男性で著明な貧血のため入院した.内視鏡検査で胃体部に隆起性病変を7個認め,生検組織で切除した肺腺癌と同じ組織像が得られた.入院2ヵ月後に死亡し,剖検では十二指腸,空腸,回腸,大腸に広汎な転移を認めた.第2例目は半年前に肺腺癌と診断され化学療法の治療歴のある65歳の男性で,脳転移による左下肢麻痺で入院した.入院1ヵ月後から下血が出現し,消化管を精査したところ,十二指腸から空腸にかけて4ヵ所に隆起性病変を認めた.3ヵ月後に死亡し剖検で肺腺癌の消化管転移と診断された.
索引用語:Adenocarcinoma of the lung, Metastasis to the gastrointestinal tract

受付日:1996年8月12日
受理日:1996年12月10日

肺癌 37 (1):111─116,1997

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