タイトル
第37巻第2号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌切除後の他臓器重複癌症例の検討

山本 良二, 飯岡 壮吾, 多田 弘人, 貴志 彰宏, 大森 健一
大阪市立総合医療センター呼吸器外科

肺癌切除後の他臓器重複癌症例について臨床的検討を行った.完全切除206例中28例(13.6%)に重複癌を認め,術後経過観察中に発見した重複癌は9例(4.3%)であった.発見契機をみるとCEA値の上昇が4例,症状発見3例,CT発見が2例であった.全例消化器系臓器の癌であり,胃癌,大腸癌がそれぞれ3例と多かった.症状発見例・CT発見例では診断は迅速であったが,CEA値上昇例では肺癌再発検索が先行し確診までの期間が長くかかった.同観察期間中の肺癌再発は71例(34.5%)で,このうち12例がCEA値上昇で発見されたが,両者間に術前CEA値の差は認めなかった.以上より肺癌切除後にCEA値上昇を見た場合,他臓器原発の癌発生も考慮した肺癌再発の検索を行うべきと考えられた.
索引用語:Lung Cancer, Double primary cancer, CEA, Intensive follow-up

受付日:1996年9月13日
受理日:1997年1月23日

肺癌 37 (2):151─155,1997

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