第37巻第2号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
MRIによる肺癌の大動脈浸潤の検討
内田 達男, 中川路 桂, 浅井 龍二*, 大宜見 辰雄**県立愛知病院外科, *同 放射線科, **同 内科
肺癌の大動脈浸潤が画像的に評価可能であるかをMRIの低信号帯の有無と病理所見とを対比させ検討した.症例は12例で,いずれも手術により腫瘍と大動脈との関係を確認したものである.低信号帯が確認できた症例は9例で,そのうち5例が途絶なく低信号帯が保たれていたが,3例に浸潤がみられた.これら3例の浸潤パターンは,胸壁浸潤が周囲より波及し大動脈表面に及んだか,直接浸潤であるが大動脈表面の胸膜に沿って浸潤したものであった.低信号帯の消失を腫瘍浸潤の指標にした場合,sensitivityは40%,accuracyは33%であった. MRIにおける大動脈周囲の低信号帯は周囲脂肪層によるchemical shift artifactと思われるが,脂肪層の量に影響される.したがって大動脈外膜への浸潤が軽度の場合,低信号帯の有無により浸潤を診断することは必ずしも容易ではないと思われた.
索引用語:Lung Cancer, Aorta, MR imaging
受付日:1996年11月20日
受理日:1997年2月10日
肺癌 37 (2):157─162,1997