タイトル
第37巻第2号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌術後の胸腔内再発における胸部CT診断の意義

廣瀬 敬, 森 清志, 町田 優, 横山 晃貴, 富永 慶晤, 松隈 治久, 澤藤 誠, 横井 香平
栃木県立がんセンター呼吸器科

肺癌術後の胸腔内再発について再発形式,胸部CTの診断能およびCTと同時期に撮影した胸部単純X線写真との比較を検討した.対象は当院で肺癌手術を施行し,術後胸部CTで再発を確認した109例で,再発部位は116部位に認めた.再発形式は肺転移が47%,リンパ節転移が30%をしめた.組織型別では扁平上皮癌でリンパ節が42%,腺癌では肺転移が56%と多かった.術後病期I期では,扁平上皮癌でリンパ節再発を36%,肺転移を50%に認めたが,腺癌では各々5%,84%に認めた.CTで再発を指摘し得た同時期の単純X線写真では,肺転移は61%,胸膜転移は67%,リンパ節転移は14%に指摘され,気管支断端再発は同定出来なかった.CTは単純X線写真より再発の発見に有用であった(p<0.05).しかしリンパ節再発は,郭清後の反応性のリンパ節腫大や断端の癌再発との鑑別がCT上では難しく,また単発肺転移と多発癌との鑑別も困難であった.
索引用語:Lung cancer, Recurrence, Chest computed tomography, Resected case

受付日:1996年12月5日
受理日:1997年1月29日

肺癌 37 (2):179─187,1997

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