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第37巻第2号目次 | Japanese/English |
─ 症例 ─
上皮成分単独の転移を認め術後化学療法にて寛解した肺芽細胞腫の1例
柳川 崇, 生島 壮一郎, 秋山 修, 折津 愈, 田中 勲＊, 武村 民子＊＊日本赤十字社医療センター呼吸器内科, ＊同 胸部外科, ＊＊同 病理部
症例は21才男性．咳嗽，呼吸困難を主訴に来院した．胸部レ線上右下肺野に径約6 cmの境界明瞭な腫瘤陰影を認め，CTではその他に右肺門リンパ節腫脹と右S2，S6に肺内転移と思われる結節影を認めた．腹部CTで大動脈及び下大静脈周囲のリンパ節腫脹を認めた．経気管支及び経皮的肺生検で病理学的確定診断が得られず，右下葉切除術を行い，肺芽細胞腫と診断した．肺内転移，肺門リンパ節転移はいずれも肺芽細胞腫の上皮成分であった．術後，Ozkaynakの報告を参考にVAC（VCR，Act-D，CTX），AP（ADR，CDDP）交替療法を行った．腹部リンパ節は順調に縮小したが，主に間葉成分に有効なVAC療法の間にCEAの上昇が観察され，腹部リンパ節転移も上皮成分主体と考えAP療法を反復しCEAは正常化した．肺芽細胞腫の化学療法の効果，転移形式について若干の文献的考察を加え報告した．
索引用語：Pulmonary blastoma, Metastasis, Chemotherapy
受付日：1996年10月11日
受理日：1997年1月10日
肺癌 37 (2)：197─202，1997
