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第37巻第2号目次 | Japanese/English |
─ 症例 ─
集学的治療により，脳・胸壁転移を制御し長期生存を得た若年者肺小細胞癌の1例
瀬川 大輔1, 加瀬 勝一1, 田中 勧1, 相田 真介2, 高木 啓吾3, 尾形 利郎41防衛医科大学校第2外科, 2同 中央検査部病理, 3東邦大学胸部心臓血管外科, 4東海大学検診センター
症例は20歳，男性．痙攣発作を主訴に近医受診し，脳腫瘍と診断され，当院脳外科へ転院．入院時胸部X線写真で右下肺野に腫瘤影を認めたが，症状のある脳腫瘍に対する手術を先行した．病理診断は未分化癌で，全脳照射を施行した後，当科へ転科し脳腫瘍に対して右下葉切除・リンパ節郭清を施行した．病理組織型は脳腫瘍も肺腫瘍も肺小細胞癌と判明，病期はp-T2N0M1と診断された．術後，全脳照射の追加と化学療法を行った．10ヵ月後，右胸壁転移を認め，化学療法を実施したところ，転移巣は画像上完全消失した（CR）が，19ヵ月後同部位に再発．化学療法を行って転移巣縮小をはかった後，胸壁切除を行った．さらに術後化学療法を追加して経過観察を行った．その後，再発の徴候は無く，肺切除後7年を越え生存中である．本症例は若年者の肺小細胞癌で，脳転移がありながら，外科療法・化学療法・放射線療法等の集学的治療により長期生存が得られた症例といえる．
索引用語：Young adult, Small cell lung cancer, Long-term survivor, Stage IV
受付日：1996年10月21日
受理日：1997年1月29日
肺癌 37 (2)：215─221，1997
