タイトル
第37巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

孤立性薄壁空洞を呈した肺腺癌の1例

味元 宏道, 冨田 良照, 澤 祥幸, 吉田 勉, 大野 康, 豊田 美紀
岐阜市民病院胸部外科, 同 呼吸器科

症例は39歳女性で,平成4年11月9日,原発性肺癌(pT2N1M0:Stage II)で左上葉切除術とリンパ節郭清術を施行した.外来で経過観察していたが,平成6年5月頃左S6に嚢胞性陰影が出現した.ツベルクリン反応が強陽性であったため,肺結核と診断し,抗結核剤の投与を行った.しかし嚢胞性陰影が拡大し,嚢胞壁の肥厚がみられ,喀痰細胞診でClass Vであったことから,転移性肺癌を疑い,平成7年9月6日結果的に肺全摘術を施行した.病理標本所見は乳頭状腺癌であった.臨床経過及び胸部X線とCTなどの諸検査の結果より,本症例は腫瘍そのものの性質よりは交通気管支のvalvular obstructionにcheck valve機構が加わって孤立性薄壁空洞が形成されたものと推測された.
索引用語:Adenocarcinoma of the lung, Metastatic lung cancer, Thin-walled cavity, Check valve mechanism

受付日:1996年8月20日
受理日:1997年1月31日

肺癌 37 (2):223─229,1997

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