タイトル
第37巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

いわゆる2相型肺芽腫(肉腫成分を伴う高悪性度胎児肺型腺癌)の1例

伊達 和彦, 加藤 真司, 近藤 一男, 吉原 正, 別府 和重, 永田 昌久
愛知医科大学第2外科

症例は65歳男性,Brinkman indexは240であり,検診の胸部X線写真で右下葉に5×4 cmの腫瘤影を指摘され来院した.経気管支鏡的肺生検(TBLB)で腺癌と診断され,胸部CTでは縦隔内リンパ節の#2,#3,#4,#7の腫大が確認された.また血中の腫瘍マーカーの内,AFPは1194.6 ng/ml,CEAは10.1 ng/mlと高値を示した.手術は後側方切開で右肺下葉切除+R2aを行った.右下葉の腫瘍はS6からS9にかけて存在し,本腫瘍は腺管構造を示す上皮性成分と一部に幼若な横紋筋や軟骨へ分化する細胞からなる非上皮性成分の2相性悪性腫瘍の像を示した.廓清したリンパ節には腺癌の転移のみが認められ,術後縦隔への放射線照射を追加した.本例はいわゆる2相型肺芽腫(肉腫成分を伴う高悪性度胎児肺型腺癌),pT2N2M0と診断した.
索引用語:Pulmonary blastoma, Adenocarcinoma of fetal lung type, Sarcomatous component, Alpha-fetoprotein

受付日:1996年6月19日
受理日:1997年3月7日

肺癌 37 (2):249─254,1997

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