タイトル
第37巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

術前照射と反復気管支動脈動注による導入治療により切除可能となった孤立性肝癌肺転移の1例

八木 孝仁, 岡林 孝弘, 貞森 裕, 井上 文之, 上川 康明, 田中 紀章
岡山大学第1外科

原発性肝癌切除後13ヵ月目に発症した縦隔浸潤のある右肺門の孤立性転移巣に対し,術前反復気管支動脈注入(BAI)と放射線療法を行い部分寛解を得て切除可能となった症例を経験したので報告する.症例は52歳,男性で肝右後区域切除を受けており,転移巣は右肺門近傍に存在し縦隔浸潤があった.この転移巣に対し3回のBAIと50Gyのγ線照射を行い,腫瘍縮小率72.8%の部分寛解(PR)が得られ切除可能となった.特に3回目のvindesine+cisplatin+mitomysin C(MVP)動注後の腫瘍退縮が著しく,有望なBAIレジメンと考えられた.MVPをレジメンに含む反復BAIと放射線療法による強力な導入療法は予後不良とされる肝癌肺転移の切除率の向上に寄与する可能性があり,予後の改善が期待された.
索引用語:Hepatocellular carcinoma, Lung metastasis, Bronchial arterial infusion, Radiation

受付日:1996年3月1日
受理日:1997年3月7日

肺癌 37 (2):255─261,1997

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