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第37巻第3号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
肺扁平上皮癌におけるムチン型コア糖鎖の発現と転移，予後との関連
藤生 浩一, 川口 隆憲＊, 鈴木 弘行, 櫛田 正男, 管野 隆三, 大石 明雄＊＊, 井上 仁, 元木 良一福島県立医科大学第1外科, ＊同 第2病理, ＊＊福島赤十字病院外科
肺扁平上皮癌のムチン型コア糖鎖の発現とリンパ節転移，遠隔転移，予後との関連を検討した．糖鎖発現の検討対象は手術で切除されフォルマリン固定後パラフィン包埋された100例である．糖鎖の検出には抗T（Thomsen-Friedenreich），抗Tn，抗Sialy-Tn（STn）の単クローン抗体とHelix pomatia（HPA），Vicia villosa（VVA），Arachis hypogaea（PNA）ビオチン標識レクチンを用いた．その結果，高率にリンパ節転移を認めたのはTnおよびHPA発現例であった．遠隔転移群でのTn，STnおよびVVA発現率は，無再発群より高率であった．予後不良であったのはVVAおよびTn発現例であった．以上の結果より，肺扁平上皮癌においてVVAやHPAレクチンで認識されるTn抗原やまたSTn抗原が蓄積している症例は，高率にリンパ節あるいは遠隔臓器に転移し，予後不良である可能性が示唆された．
索引用語：Carbohydrates, Tn antigen, Squamous cell carcinoma of the lung, Metastasis, Prognosis
受付日：1996年7月24日
受理日：1997年3月14日
肺癌 37 (3)：301─311，1997
