タイトル
第37巻第3号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

悪性胸膜中皮腫9例の胸腔鏡所見,組織学的所見と臨床所見の関連についての検討

高部 和彦1,*, 清水 孝1, 高際 淳1, 平山 稔1, 中山 杜人1, 三浦 溥太郎1, 赤羽 久昌2, 高山 重光3, 相田 真介4, 木村 雄二5
1横須賀共済病院内科(現,土浦協同病院内科), 2同 病理, 3東京都管工業健康保険組合健康管理センター, 4防衛医科大学校検査部病理, 5パタン病院(ネパール)病理

悪性胸膜中皮種9例の胸腔鏡所見を,組織学的所見を加え,多発性隆起型(隆起型)(5例)と非特異的肥厚型(肥厚型)(4例)に分類し,臨床所見との関連について検討した.対象の平均年齢は66歳,組織型は上皮型7例,二相型2例であった.胸腔鏡下生検により9例中6例,67%に診断が得られた.隆起型は壁側胸膜にびまん性に多発性扁平隆起を認め,組織学的に腫瘍細胞は中皮表層を浸潤した.肥厚型は胸膜肥厚を主体とし隆起性病変はあっても散在性で,生検では腫瘍細胞は検出困難か(2例),中皮下に限局し(2例),中皮下主体の浸潤を示すと考えた.臨床所見では,肥厚型は全例炎症反応を伴い,血中CRPは肥厚型で有意に高値であった(P=0.01).また,胸水ヒアルロン酸(μg/ml,mean±SEM)は隆起型で有意に高値であった(814±259 vs 36±8,P=0.01).この分類は臨床的に有用と考えられ報告した.
索引用語:Pleural malignant mesothelioma, Thoracoscopy, Hyaluronic acid

受付日:1996年12月27日
受理日:1997年3月26日

肺癌 37 (3):335─345,1997

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