タイトル
第37巻第3号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

非小細胞肺癌におけるbcl-2蛋白およびp53蛋白の発現の検討―組織型,病期別の予後因子としての意義に関する研究―

藤田 結花, 大崎 能伸, 豊嶋 恵理, 藤内 智, 藤兼 俊明, 菊池 健次郎
旭川医科大学第1内科, 国立療養所道北病院内科

原発性非小細胞肺癌手術例299例を対象としてbcl-2蛋白およびp53蛋白の発現と予後との関連を免疫組織化学的に検討した.299例中,64例(21.4%)がbcl-2蛋白,149例(49.8%)がp53蛋白陽性であった.bcl-2蛋白およびp53蛋白の陽性率はいずれも腺癌に比し扁平上皮癌で高かった.病理病期ではbcl-2蛋白の陽性率はIII,IV 期に比べI,II期で高かった(p=0.032).生存率はbcl-2蛋白陽性例は陰性例に比べ高く(p=0.012),p53蛋白陽性例が陰性例に比べ低かった(p=0.021).病期別の検討ではI,II期ではbcl-2蛋白陽性例で有意に生存率が高かった(p=0.033).組織型と生存率との関連では,腺癌ではp53蛋白陰性例が,扁平上皮癌ではbcl-2蛋白陽性例がいずれも有意(それぞれp=0.012,p=0.012)に生存率が高かった.腺癌におけるp53蛋白の発現,扁平上皮癌におけるbcl-2蛋白の発現が予後因子として有用と考えられた.
索引用語:bcl-2 , p53, Non-small cell lung cancer, Immunohistochemistry , Survival

受付日:1996年10月28日
受理日:1997年4月1日

肺癌 37 (3):347─356,1997

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