タイトル
第37巻第3号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

G-CSFを産生した原発巣不明縦隔リンパ節大細胞癌の1例

近藤 薫, 浦上 年彦, 春日井 敏夫, 中村 敦
トヨタ記念病院呼吸器外科, 名古屋市立大学第1内科

肺門や縦隔リンパ節などの転移病巣がみられるにもかかわらず,肺内に原発巣を認めないT0肺癌の報告例は少ない.縦隔リンパ節のみに癌病巣を認め,種々の検索によっても原発巣が不明の大細胞癌を経験した.症例は57歳・男性,主訴は咳嗽である.画像上右上縦隔の気管前に径10 cm大の内部に一部壊死を伴った腫瘤を認めた.全身検索するも原発巣を認めず,縦隔リンパ節切除+右上葉切除術を施行した.組織学的には大細胞癌であり,リンパ節原発の悪性腫瘍,縦隔進展肺癌は否定的であり,肺癌取扱い規約に準じて,T0N2M0大細胞癌と診断した.また本腫瘍は術前に白血球数の著明増多を認め,血中G-CSF濃度も高値であったが,腫瘍摘出により双方とも正常化した.さらに抗G-CSFモノクロナール抗体による免疫組織染色により腫瘍よりのG-CSFの産生が証明され,G-CSF産生腫瘍と考えられた.
索引用語:Cancer of unknown primary site, T0 lung cancer, Mediastinal tumor, Large cell carcinoma, G-CSF producing tumor

受付日:1996年11月28日
受理日:1997年3月5日

肺癌 37 (3):371─377,1997

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