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第37巻第3号目次 | Japanese/English |
─ 症例 ─
肺クリプトコッカス症を伴った原発性肺癌の3手術例―肺内転移と疑われて―
稲葉 浩久, 長島 康之, 太田 伸一郎, 伊藤 靖, 石田 格, 本多 淳郎＊静岡県立総合病院呼吸器外科, ＊同 呼吸器科
1995年5月からの1年間で，当科で切除した原発性肺癌55例の内，術前画像診断及び術標本切り出しで，同側肺に1 cm以下の小腫瘤を認め，肺内転移と考えた症例は4例であった．その内3例で，指摘された小腫瘤よりクリプトコッカスの菌体を認め，小腫瘤は肺内転移ではなかった． その3症例の年齢は43才～74才，男性2名，女性1名．術後病期は，I期1名，IIIA期2名であった．この3例の共通事項として，鳥類の飼育歴は無く，また術前は咳嗽・痰等の自覚症状，血液生化学検査の異常，炎症所見等は認めなかった．肺癌の組織型はいずれも腺癌で，肺葉切除＋R2を行い，術後はフルコナゾールを半年間投与した． 画像診断にて，肺癌と結節型クリプトコッカス症を鑑別する事は非常に困難である．確定診断のついていない肺小腫瘤に対しては，クリプトコッカス症を疑ってみる必要もあると思われた．
索引用語：Pulmonary cryptococcosis, Primary lung cancer, Pulmonary metastasis, Pulmonary lobectomy
受付日：1997年1月6日
受理日：1997年3月26日
肺癌 37 (3)：401─408，1997
