タイトル
第37巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺芽腫の臨床的検討

橋詰 寿律, 小松 彦太郎, 石原 重樹, 河原 正明, 山本 暁, 本廣 昭, 福田 幹久, 廣津 泰寛, 菊地 敬一, 中村 雅登
国療肺癌研究会, 東海大学病態診断系病理学

国療肺癌研究会で経験した肺芽腫8例を対象として,その臨床像および病理像を検討した.8例のうち男性6例,女性2例であった.5例では腹痛および血痰などの自覚症状がみられたが,残りの3例は無症状であり検診などで発見された.今回検討した8例はすべて手術例であった.術前に肺芽腫と診断されていたものは経皮針生検で診断された1例のみで残りの7例はすべて切除標本で肺芽腫と診断されており,術前診断は困難であった.切除後の予後をみてみると2例は術後10年5ヵ月および3年2ヵ月の現在生存中であり,3例は術後9ヵ月,4ヵ月および3ヵ月で原病死していた.残りの3例は他病死であった.その病理組織像をみてみると生存中の2例は上皮性成分が主体で間葉系成分はわずかであり,術後1年以内に原病死した3例では逆に間葉系成分が主体となっており,腫瘍の病理像とその予後は深く関係していることが示唆された.
索引用語:Pulmonary blastoma, Epithelial component, Mesenchymal component, Adenocarcinoma, Pulmonary resection

受付日:1996年9月20日
受理日:1997年4月15日

肺癌 37 (4):427─432,1997

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