タイトル
第37巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

ヘリカルCTによる肺癌のスクリーニング

安田 聖栄, 正津 晃, 大久保 喜良, 山田 修, 吉見 勇治, 高木 繁治, 井出 満, 松山 正也
山中湖クリニック画像診断センター, 東海大学放射線科

肺癌の一次検診にヘリカルCTを用いた.2年9ヵ月間に2201人(男性1447人,女性754人,平均年齢53歳)に計3232回の検査を施行した.その結果8例の肺癌(腺癌7例,小細胞癌1例)が発見された.腫瘍サイズは4~24 mm(平均12 mm)と小さく,全例病理病期I期であった.8例中5例(63%)は胸部単純写真で腫瘍の存在を指摘できなかった.肺癌発見頻度は対人数0.36%(8/2201人),対件数0.25%(8/3232件)で,従来の単純写真による集団検診に比べ高率であった.ヘリカルCTによる肺癌検診では,CTで発見される小陰影の質的診断が問題とされている.thin-section CTによる経過観察は2例の肺癌発見に役立った.また発見肺癌で施行された18F-fluorodeoxyglucose PET検査では1 cm・1.3 cmの乳頭状腺癌,1.3 cmの低分化型腺癌,2.4 cmの小細胞癌の4例で陽性所見が認められた.今後さらに通常CT,thin-section CT,PET所見,病理所見の関係を検討する必要があると考えられた.
索引用語:Lung cancer, Cancer screening, Computed tomography, Thin-section CT, Positron emission tomography

受付日:1997年4月3日
受理日:1997年4月28日

肺癌 37 (4):433─439,1997

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