タイトル
第37巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌化学療法(MVP)施行時の併用制吐剤による便秘の発生―高用量メトクロプラミドと5-HT3拮抗剤の比較検討―

福井 啓祐, 望月 吉郎, 中原 保治, 河村 哲治, 木本 てるみ
国立姫路病院薬剤科, 同 内科

当院においてMVP化学療法(MMC,VDS,CDDP)を施行した非小細胞肺癌症例63例を,制吐剤としてメトクロプラミドを高用量投与した群(23例)と5-HT3受容体拮抗剤を投与した群(40例)の2群に分け,化学療法後の便秘の発症についてカルテよりRetrospectiveに調査検討した.便秘発症例はメトクロプラミド高用量投与群で3例(13%),5-HT3拮抗剤群では18例(45%)であった.この結果はメトクロプラミド高用量投与による下痢傾向,5-HT3拮抗剤及びMVP療法の便秘傾向の3点が組み合わさった事が原因と推察された.5-HT3拮抗剤は肺癌化学療法上非常に有効な薬剤である.本邦ではMVP療法に5-HT3拮抗剤を併用した時便秘が発症しやすいという報告はないが,癌化学療法時には十分考慮に入れるべきと考える.
索引用語:MVP chemotherapy, 5-HT3 antagonist, Antiemetic drug, Constipation

受付日:1997年2月10日
受理日:1997年4月30日

肺癌 37 (4):441─445,1997

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