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第37巻第4号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
腫瘍最大径2 cm以下の末梢部小型肺腺癌切除症例の検討―特に病理組織学的所見と予後因子及び縮小手術の適応について―
田尻 道彦, 石井 治彦, 山形 達史, 石橋 信, 尾下 文浩＊, 山田 耕三＊, 野村 郁男＊, 野田 和正＊, 亀田 陽一＊＊, 飯田 萬一＊＊神奈川県立がんセンター外科第1科, ＊同 内科第3科, ＊＊同 検査第1科
小型肺腺癌の特色と予後因子を明らかにするために，腫瘍最大径2 cm以下の末梢部肺腺癌92例を検討した．また，surfactant apoprotein A（SPA），urine protein 1（UP1）について免疫組織化学染色を行い検討した．腫瘍最大径1 cm以下（5年生存率100%），腫瘍最大径1.1～1.5 cm（同89.7％），高分化（同96.3％），細気管支肺胞型（同100％），細胞丈「低」（同96.0％），n0（同88.3％），p0＋p1（同86.3％），ly（-）（同93.6％），v（-）（同93.7%）が有意に予後良好であった．SPA強陽性例は5年生存率86.1％であったが，n2が3例見られ早期症例に限定されなかった．多変量解析ではly因子，n因子，腫瘍最大径が有意な予後因子であった．腫瘍最大径1 cm以下，細気管支肺胞細胞型，低細胞丈の症例は全例リンパ節転移及び肺内転移を認めず，以上の条件が整えば，リンパ節郭清の省略・縮小や縮小手術の適応の可能性が示唆された．
索引用語：Pulmonary adenocarcinoma, Bronchioloalveolar carcinoma, Height of cell, Surfactant apoprotein A, Urine protein 1
受付日：1997年2月5日
受理日：1997年4月30日
肺癌 37 (4)：447─456，1997
