第37巻第4号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
小細胞肺癌脳転移に対する放射線治療成績の検討
森 岳樹*, 村上 昌雄, 黒田 康正天理よろづ相談所病院放射線科, *現・公立宍粟郡民病院放射線科
天理よろづ相談所病院における小細胞肺癌脳転移の放射線治療成績を検討した.対象は33から80歳までの計67例で,47例は30~57.6 Gy(平均44.3 Gy)の全脳照射,20例はboost照射を追加し,40~60 Gy(平均52.6 Gy)照射した.治療効果判定はRTOGの神経機能分類(NF)及びCTまたはMRIによる腫瘍縮小度で行った.その結果,NFの改善率は70%で,CR36%,PR51%,NC10%,PD1%であった.照射開始日を起点とした全症例の1,2年生存率はそれぞれ26%,9%でMSTは6.2ヵ月であった.初発時脳転移群は再発時脳転移群より予後良好であった.MRIでのみ指摘可能な脳転移症例を5例認め,その予後はMST 12.9ヵ月と良好であった.多変量解析の結果,血清LDH値正常,原発巣が制御されている.年齢62歳以下の3因子が予後良好因子と考えられた.以上の結果より,予後良好群には脳転移巣制御を目的とした大線量放射線治療を考慮すべきと思われる.
索引用語:Small-cell lung cancer, Brain metastases, Radiation therapy, Prognostic factors
受付日:1997年3月22日
受理日:1997年5月20日
肺癌 37 (4):457─466,1997