タイトル
第37巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

術中迅速診断による原発性肺癌リンパ節転移診断の試み―縮小縦隔リンパ節郭清を目的として―

三好 新一郎, 前部屋 進自, 鈴間 孝臣, 別所 俊哉, 平井 一成, 谷野 裕一, 吉増 達也, 有本 潤司, 内藤 泰顯, 西野 栄世**
現大阪大学第1外科, 和歌山県立医科大学第1外科, **同 中検病理

肺癌肺切除患者において,どのレベルの縦隔リンパ節を術中迅速診断すればp-N1以下と診断しうるか検討した.[retrospective study]p-N2肺癌55症例の分析より,p-N2診断率の最も高い原発肺葉毎のリンパ節の組み合わせは,右上葉は#2,3,4,左上葉は#4,5,7,右下葉は#3,7,8,左下葉は#4,7,8,で各々100,91,91,100%のp-N2が診断できた.[prospective study]肺癌61例に対して上記3レベルの郭清を行い,各レベルで最も転移の疑われるものを1個づつ迅速診断(f-N)し,続いて行ったR2a以上の固定標本による診断(p-N)と比較した.39例がf-N1以下・p-N1以下で,16例がf-N2・p-N2以上で一致した.6例がf-N1以下,p-N2以上で不一致であったが,内4例は郭清3レベル内の微小転移であった.肺癌原発肺葉毎に上記3レベルの術中迅速診断を行い,転移を認めない症例においては高い精度でp-N1以下と診断できた.またこれらの症例には3レベルまでの縮小縦隔郭清が適応できると思われた.
索引用語:Bronchogenic carcinoma, Mediastinal metastasis, Mediastinal lymphadenectomy, Frozen section examination

受付日:1997年3月6日
受理日:1997年6月2日

肺癌 37 (4):475─484,1997

ページの先頭へ