 |
第37巻第4号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
ヘリカルCTの肺癌2次検診への応用―CT検診発見の肺野末梢部腫瘤のCT所見と診断基準作成に関する検討―
本山 新, 楠本 昌彦, 河野 通雄神戸大学放射線医学講座
CT検診発見の肺野末梢部腫瘤のCT診断基準の作成を目標とし，2次検診の要精検者55例のCT所見を分析し，HRCT所見とも対比した．腫瘤径は径5 mm以下では良性腫瘤の割合が大きく，径が大きくなるにつれ，悪性腫瘍の割合が増加した．原発性肺癌では，充実型濃度，分葉，棘形成，胸膜嵌入，肺血管の巻き込みが高頻度に認められ，HRCTでは，いずれの所見もさらに頻度が増加した．転移性腫瘍は，腫瘤数多数と悪性腫瘍の既往を有する意外に良性腫瘤との相違点はなかったが，HRCTでは，充実型濃度や分葉が高頻度に認められた．上記結果より作成した3種類のヘリカルCT診断基準案の検討から，径5 mmより大きい場合，上記悪性を疑う所見を1項目でも認める場合は，HRCTを行い，さらに精査を進めるべきと考える．一方，径5 mm以下で，含気型濃度，境界明瞭，辺縁平滑な類円形で数個までのものは，経過観察で対処可能なものが多いと考える．
索引用語：Helical CT, Lung cancer, Screening, Diagnostic criteria
受付日：1997年4月3日
受理日：1997年6月11日
肺癌 37 (4)：491─500，1997
