タイトル
第37巻第4号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

扁桃腺転移を来した,G-CSF(Granulocyte Colony Stimulating Factor)産生肺大細胞癌の1例

渡辺 直樹, 折田 洋二郎, 張田 信吾
公立学校共済組合中国中央病院外科, 同 内科

扁桃腺転移を来した,G-CSF産生肺大細胞癌の一例を経験したのでこれを報告する.患者は64歳,男性,咳と熱を主訴に来院した.胸部X線写真,CT上右上葉肺尖の巨大なブラと,それに接してS2bに腫瘍陰影を認めた.入院検査で,WBC 23,000/μl,CRP 5.8 mg/dlと強い炎症反応を認めた.腫瘍性病変が強く疑われ,胸腔鏡による審査開胸術を行い,大細胞癌と診断し,右上葉切除術を施行した.退院後,WBC 9,600/μl,CRP 0.1までいったん減少していたが,術後3ヵ月後,咽頭痛を訴えて来院,WBCが再上昇しており(20,400/μl),扁桃腺部分切除による生検の結果,大細胞癌転移を診断された.1)末梢白血球増多,2)血清中のG-CSF濃度が高値,3)腫瘍体積の増減に比例して白血球数が増減,4)肺,扁桃腺ともに抗G-CSF抗体による免疫組織化学染色陽性,以上の点より,扁桃腺転移を来した.G-CSF産生肺大細胞癌と診断された.
索引用語:Metastatic tonsil tumor, Large cell carcinoma, G-CSF producing tumor

受付日:1997年3月6日
受理日:1997年4月14日

肺癌 37 (4):501─506,1997

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