タイトル
第37巻第4号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

気管支内腔にポリープ状発育を示した肺乳頭状腺癌の1例

森 公介
公立周桑病院内科

症例は25歳女性.職場検診にて左下葉の腫瘤陰影を指摘された.気管支鏡検査では隣接する左B8a,B9入口部を閉塞するポリープ状腫瘤を認め,生検により腺癌が証明され左下葉切除が施行された.肉眼的所見では腫瘍は大部分が線維組織で囲われ周辺肺組織と境界鮮明であったが,一部に肺実質への浸潤が認められた.また腫瘍は末梢側および中枢側へ気管支内腔を拡張させつつ樹枝状にポリープ状発育していた.病理組織所見では高分化乳頭状腺癌で,細胞亜分類では気管支上皮型とクララ細胞型との混在が考えられた.肺野型腺癌が気管支内腔を樹枝状にポリープ状発育することは稀であり,かつ内視鏡的にも隣接する2区域にポリープ状腫瘤を認めることは極めて稀である.
索引用語:Adenocarcinoma of the lung, Polypoid growth, Endobronchial branching growth

受付日:1996年11月29日
受理日:1997年4月21日

肺癌 37 (4):511─516,1997

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