タイトル
第37巻第4号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

気腫性肺嚢胞に隣接した原発性肺癌4切除例の検討

井上 修平, 澤井 聡, 手塚 則明, 紺谷 桂一, 藤野 昇三, 加藤 弘文
滋賀医科大学第2外科

1995年7月から1年間に気腫性肺嚢胞に隣接した原発性肺癌の4切除例を経験した.症例は38歳から68歳の男性で,全例重喫煙者(Brinkman Index=450~2000)であった.全例に肺葉切除術を施行した.組織型は1例が扁平上皮癌(病理病期IIIA期)で,3例が腺癌(病理病期I期)で,低分化腺癌は1例であった.転帰は,全例が再発なく術後5~15ヵ月生存中である.気腫性肺嚢胞患者,中でも男性の重喫煙者は肺癌のハイリスクグループとして胸部CT検査を中心とした経過観察が必要であり,経過中に新たな陰影が出現した場合には,肺癌を念頭に入れての精査が必要である.また,気腫性肺嚢胞隣接肺癌は低分化型が多く,発見時に進行している場合も多いため,一般に予後が不良といわれているが,早期発見,早期診断して治癒切除ができれば良好な予後が期待できると考えられた.
索引用語:Bullous emphysema, Lung cancer

受付日:1996年11月27日
受理日:1997年5月9日

肺癌 37 (4):537─546,1997

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