タイトル
第37巻第6号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

限局型小細胞肺癌完全寛解症例に対するProphylactic Cranial Irradiation

多田 卓仁1, 水口 和夫1, 甲田 真由子1, 益田 典幸2, 松井 薫2, 川瀬 一郎2, 中島 俊文3, 福岡 正博4, 小塚 隆弘1
1大阪府立羽曳野病院放射線科, 2同 第2内科, 3天理よろづ相談所病院放射線科, 4近畿大学第4内科

小細胞肺癌に対するProphylactic Cranial Irradiation(PCI)は各国で施行されているが,脳転移の頻度は低下するというconsensusは得られているものの,生存期間に関しては現在論争中である.PCIの完成度を高める目的で当院にてPCIが施行された症例の治療成績と予後因子をretrospectiveに検討した.PCIの線量は24 Gy(加速的多分割照射)が25例,30 Gyが16例であった.24 Gy群,30 Gy群の2年生存率は60%,33%,5年生存率は26%,20%であった.初再発部位としての脳転移は24 Gyでは16%,30 Gyでは13%であり脳転移単独は12%,6%であった.予後因子に関しては,年齢(65歳未満と65歳以上)とstage(IIIAとIIIB)で有意差が認められた.厳密に対象を選択し(Stage IIIA),適切な線量(27-30 Gy)を設定したprospective randomized studyを施行すれば,PCIが生存期間を有意に延長させることを確認できる可能性があると考えられる.
索引用語:Prophylactic cranial irradiation, Small cell lung cancer, Complete remission

受付日:1997年5月26日
受理日:1997年7月8日

肺癌 37 (6):849─854,1997

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