タイトル
第37巻第6号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌告知・治療に対する患者・家族・医療従事者の認識の相違

大石 尚史1, 野田 康信1, 権田 秀雄1, 谷川 吉政1, 高木 健三2, 鈴木 隆二郎2, 谷口 博之3, 近藤 康博3, 生田 順也3, 荒木 信泰4
1豊橋市民病院呼吸器・アレルギー内科, 2名古屋大学第2内科, 3公立陶生病院呼吸器内科, 4厚生連渥美病院内科

気管支ファイバー検査を要する患者とその家族,および医療従事者(自分が患者及び家族の立場になったことを想定して)に対し,肺癌告知・治療に関するアンケートを行い,それぞれの考え方の違いを検討した.その結果より,多くの患者は家族が告知に反対していても告知を希望している.家族は7割近くが患者への告知に賛成しているが,一方では,患者の希望に沿うようにしてあげたいと考えているのは4割弱に過ぎなかった.特に患者が若年者である場合にその傾向が強かった.医療従事者は,告知には必ずしも無条件に賛成ではなく,病状などを考慮してから決定したいとしているが,最終的には患者の希望を第一に優先する傾向にあった.これらの傾向をよく理解した上で,個々の患者にあった方法で告知を行うことが望ましい.そのためにはアンケートは有用であり,また家族にも告知に対して理解を求めることができる.
索引用語:Truth-telling, Lung cancer, Doctor, Nurse, Informed consent

受付日:1997年8月4日
受理日:1997年9月1日

肺癌 37 (6):877─886,1997

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