タイトル
第37巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

原発不明の肺門・縦隔リンパ節転移腺癌の1切除例

塚田 久嗣, 長田 博昭, 小島 宏司, 山手 昇
聖マリアンナ医科大学第3外科

症例は52歳の男性,熱発と背部痛を主訴に近医を受診し,肺炎と胸膜炎の診断で入院した.その後さらに,左肺門部腫瘤影とCEAの高値が指摘され当科へ転科した.閉塞性肺炎を伴う原発性肺癌を疑ったが,気管支鏡検査にて異常を認めなかった.転移性腫瘍も否定し得なかったため,全身の検索を施行したが,左肺門部腫瘤・傍大動脈リンパ節腫大・左S8浸潤影,以上の所見しか指摘し得なかった.これらの胸部所見に対し,胸腔鏡下生検を施行した.その結果,術中は左上葉原発の非小細胞性肺癌と診断し,左上葉切除術R2b郭清を施行した.術後病理組織学的には,肺門部腫瘤も中分化型腺癌のリンパ節転移であると診断した.術後CEAは正常化し,特に補助療法は追加していないが10ヵ月を経過して再発転移は認めない.本症例は原発不明癌の肺門・縦隔リンパ節転移,またはT0N2M0の原発性肺癌と考えられた.
索引用語:T0N2M0 lung cancer, Hilar and mediastinal lymph node metastasis, Metastatic cancer of unknown primary site

受付日:1997年4月28日
受理日:1997年6月20日

肺癌 37 (6):893─898,1997

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