タイトル
第37巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

多発性肺転移で発見された胞巣状軟部肉腫(Alveolar Soft Part Sarcoma)の1例

松本 明子1, 3, 大道 和宏1, 有田 健一1, 佐々木 幸治2
1広島赤十字・原爆病院呼吸器科, 2同 外科, 3広島大学第1内科

症例は23歳の女性.1992年の検診では異常は指摘されなかったが,1993年の検診における胸部X線写真で左肺門部の塊状影と両側下肺野を中心とする多発性の小結節陰影を指摘された.開胸肺生検によりAlveolar Soft Part Sarcoma(ASPS)の肺転移と診断された.全身検索により縦隔内,腹腔内,右大腿部にも同様の腫瘍を認め,右大腿部が原発巣であろうと推測された.しばらくは無症状に経過したが,てんかん発作が出現したため転移巣の核出術が施行され,脳転移巣も同様の組織であることが確認された.Alveolar Soft Part Sarcoma(ASPS)は比較的若年者の四肢に好発する.組織起源の確定されていない軟部悪性腫瘍である.原発巣のはっきりしない多発性肺転移をみた場合には本疾患も念頭に置いて軟部組織の検索も十分に行わなければならない.
索引用語:Alveolar soft part sarcoma (ASPS), Multiple pulmonary metastasis, Soft tissue tumor, Open lung biopsy, Magnetic resonance imaging (MRI)

受付日:1995年12月6日
受理日:1997年8月26日

肺癌 37 (6):919─924,1997

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