タイトル
第37巻第7号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

原発性肺腺癌の細胞形態学的特徴と化学療法効果

瀬戸 貴司, 中山 富雄, 今村 文生, 中村 慎一郎, 楠 洋子, 宝来 威
大阪府立成人病センター第4内科

肺腺癌の化学療法に対する効果と細胞形態像を検討した.対象とした原発性肺腺癌26例の化学療法2コース終了後の治療効果はPR9例,NC11例,PD6例であった.細胞形態学的検討には,擦過あるいは穿刺吸引細胞診のパパニコロウ染色標本を用いて,癌細胞の核の大きさと形態,クロマチンの染色性,核小体の形状を観察した.PRが得られた症例に多く出現した腺癌細胞は,細胞や核が大型で,大小不同が強く,核は類円形で微細クロマチンが増量していた.NC症例に多く出現した腺癌細胞は,細胞および核が小型で,核形は不整形,クロマチンが不均等疎に分布した.PD症例には粗顆粒状クロマチンを有する腺癌細胞の出現率が高かった.肺腺癌では細胞形態学的検討により,抗癌化学療法の効果がある程度予想され得ると考えられた.
索引用語:Adenocarcinoma of the lung, Cytology, Response to chemotherapy

受付日:1997年7月24日
受理日:1997年10月7日

肺癌 37 (7):961─966,1997

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