タイトル
第37巻第7号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

悪性腫瘍術後の経過中に出現した孤立性肺結節の検討

川波 祥子, 渡辺 秀幸, 青木 隆敏, 畑中 久実, 中田 肇, 城戸 優光, 中西 良一**, 安元 公正**
産業医科大学放射線科, 同 呼吸器科, **同 第2外科

原発の悪性腫瘍が手術されその後の経過観察中に新たに出現して切除され組織診断の得られた孤立性肺結節28例についてそのCT所見および臨床的特徴を検討した.肺転移が15例(53.6%)と最も多く,肺癌6例(21.4%),転移か肺癌か鑑別不能であったもの2例と併せ,23例(82.1%)が悪性腫瘍であった.良性疾患は5例であった.肺転移の大多数は円~類円形で辺縁平滑であったが2例で不規則な形状を呈し,5例で中等度以下の辺縁不整が見られた.肺癌では1例以外は不規則な形状および高度の辺縁不整を認めた.良性病変でも5例中2例が不規則な形状で辺縁平滑なものは1例のみであった.悪性腫瘍患者の経過中に出現する孤立性肺結節はCT上,円~類円形の形状で辺縁に高度の不整がないものについては肺転移の可能性が高い.しかし肺癌,良性疾患との鑑別困難な症例も含まれ術前の検査で診断不可能な場合には組織診断が必要である.
索引用語:Solitary lung nodule, Patient with malignant tumor, CT

受付日:1997年9月16日
受理日:1997年11月13日

肺癌 37 (7):981─989,1997

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