タイトル
第37巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

気管支顆粒細胞腫の1切除例

森山 裕熙, 片岡 和彦, 松浦 求樹, 妹尾 紀具, 立山 義朗, 松浦 博夫
社会保険広島市民病院呼吸器外科, 同 病理部

右B3aの入口部に存在する腫瘤に対し右上葉切除を行ったところ,比較的稀な気管支内顆粒細胞腫であった1例を経験した.症例は57歳男性で,盲腸癌の術後加療中に胸部異常影を指摘され,近医で気管支鏡検査を2回受けているが,確定診断がつかず当科紹介となった.再度気管支鏡検査を行ったところ,右B3a入口部に内腔をほぼ占拠するポリープ状腫瘤を認めたが確定診断がつかず,胸部X線写真でも以前に比べやや増大傾向を認め,最終的に悪性腫瘍も完全に否定しきれなかったために右上葉切除術を施行した.術中迅速細胞診では過誤腫であったが.手術材料のホルマリン固定標本にてPAS染色・S-100蛋白染色陽性であることなどより顆粒細胞腫と診断した.気管支原発の本症は稀で,本邦では34例が報告されている.神経細胞由来と考えられており,多くは良性であるが外科的切除が行われることが多い.
索引用語:Granular cell tumor, Endobronchial tumor

受付日:1997年5月16日
受理日:1997年9月26日

肺癌 37 (7):991─995,1997

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