タイトル
第37巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

肺転移をきたした類上皮肉腫の2例―薄壁空洞形成機序についての考察―

三谷 桃子, 瀬戸 貴司, 千場 博, 深井 祐治, 吉松 俊治, 蔵野 良一**
熊本地域医療センター呼吸器科, 同 放射線科, **同 病理

肺転移巣が薄壁空洞性病変をきたした類上皮肉腫の2例を経験した.症例1は30歳男性,類上皮肉腫の診断で左大腿部の部分切除,6年後に再発のため左下肢切断が施行された.下肢切断より10ヵ月目に両側気胸のため当センターに緊急入院した.症例2は45歳女性,左前腕の腫瘍を摘出され,類上皮肉腫と診断された.約14ヵ月後に血痰,胸部異常陰影のため,当センターに紹介された.2症例とも,胸部X線写真,胸部CT写真にて多発性の薄壁空洞性病変が認められ,経気管支的空洞内壁生検の結果,類上皮肉腫肺転移と診断された.類上皮肉腫の肺転移の特徴として,薄壁空洞を呈することが考えられ,空洞化の機序として腫瘍の遠心性増大に伴う中心壊死,壊死物質が経気管支的に排出される過程があると考えられた.薄壁化には,チェックバルブ機構が関与していると考えられた.
索引用語:Epitheloid sarcoma, Thin-walled cavity, Pulmonary metastasis

受付日:1996年9月9日
受理日:1997年9月30日

肺癌 37 (7):1003─1008,1997

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