タイトル
第37巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

Chatelut式を用いたカルボプラチンとエトポシド併用療法を行った高齢者小細胞癌の1例

福田 実, 岡 三喜男, 寺師 健二, 樽崎 史彦, 長島 聖二, 河野 茂
長崎大学第2内科

症例は81歳,男性.咳,労作時呼吸困難のため,近医を受診し胸部X線で両下肺野の網状影および右肺門縦隔リンパ節腫張を指摘され当科に入院した.入院後,右S9原発の進展型肺小細胞癌(T4N2M0)と診断した.高齢で肺気腫を伴い,腎機能もクレアチニンクリアランス31 ml/分と低下が認められたが,Chatelut式を用いてAUC=5を目標とした第1日のカルボプラチンと第1-3日のエトポシド75 mg/m2による併用化学療法を行った.第1コース目に測定したカルボプラチンのAUCは目標よりやや低い4.42であったが,血液毒性はG-CSFの併用で耐用可能で4コースが施行され,効果は70%縮小の有効であった.自覚的な副作用も軽く,高齢・腎機能低下例においてもChatelut式を用いたこの治療法はG-CSFを併用すれば安全に施行可能なことが示唆された.
索引用語:Small cell lung cancer, Chatelut formula, Carboplatin, Chemotherapy, Elderly lung cancer

受付日:1997年8月11日
受理日:1997年9月16日

肺癌 37 (7):1009─1015,1997

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