タイトル
第37巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

口腔内転移をきたした肺癌の3例

田中 博幸, 小林 英夫, 叶 宗一郎, 永田 直一, 相田 真介, 高木 啓吾**
防衛医科大学校第3内科, 同 病院検査部, **同 第2外科

肺癌からの口腔内転移3例を報告する.症例1は45歳の男性で,健診で右肺尖の異常影を指摘された.右S1の径5 cm大の腺癌で,4ヵ月後に扁桃転移が出現した.扁桃腫瘍摘出と放射線照射によりほぼ消失したが22ヵ月で死亡した.症例2は61歳の男性で,歯肉腫瘤で発症し精査中に左肺門部の異常影を指摘された.直径6 cmの大細胞癌の歯肉転移であった.歯肉部に30 Gyの放射線照射を行い腫瘍は消失したが,多発転移をきたし4ヵ月後に死亡した.症例3は40歳の男性で,健診にて右上肺野に異常影を指摘された.右S3の直径8 cmの大細胞癌で1ヵ月後に歯肉腫瘤が出現した.歯肉部に60 Gyの放射線照射を行い腫瘍は消失したが,肝・副腎転移を併発し4ヵ月後に死亡した.肺癌の口腔内への転移に対しては放射線治療が有効であるが多発遠隔転移を併発していることが多く予後は不良である.
索引用語:Metastasis to oral cavity, Tonsillar metastasis, Gingival metastasis, Lung cancer, Large cell carcinoma

受付日:1997年6月30日
受理日:1997年10月7日

肺癌 37 (7):1029─1034,1997

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