タイトル
第37巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

縦隔原発悪性線維性組織球腫を含む四重複癌の1切除例

稲葉 浩久, 太田 伸一郎, 西村 俊彦, 高持 一矢, 石田 格, 本多 淳郎
静岡県立総合病院呼吸器外科, 同 呼吸器科

悪性線維性組織球腫(MFH)は,四肢の軟部組織に好発する非上皮性の悪性腫瘍で,胸郭内に発生することは稀である.今回,原発性肺癌と縦隔原発MFHを同時に切除した四重複癌の1例を経験したので報告する.症例は67歳男性.58歳時に胃癌にて胃全摘術受け,60歳時には腎盂癌にて右腎摘出術を受けている.今回,左肺S3の原発性肺癌と,大動脈弓上縁で縦隔と肺にまたがる径2 cmの診断のつかない小腫瘤のため,左肺上葉切除とリンパ節郭清術及び小腫瘤摘出術を施行した.小腫瘤は大動脈外膜に浸潤しており,これも合併切除した.病理組織診断は,pT2N0の肺腺癌と縦隔原発で肺に浸潤したMFHであった.切断断端へ遺残は認められなかったが,MFHの再発予防のため,上縦隔に60 Gy術後照射を追加した.
索引用語:Malignant fibrous histiocytoma, Mediastinal tumor, Primary lung cancer, Quadruple cancer

受付日:1997年9月1日
受理日:1997年10月13日

肺癌 37 (7):1035─1040,1997

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